半導体量子ドットは”人工原子”とも呼ばれ、その中では電子の軌道がs軌道、p軌道などの殻構造を作って量子化されるとともに、スピンが関与した新規な物理現象が現れます。我々は、単一の自己組織化InAs量子ドットにナノギャップを有する金属電極を形成すると、単一電子トランジスタとして動作するという著しい特性を発見しました(M. Jung, K. Hirakawa, et al., Appl. Phys. Lett., 86, 033106 (2005))。この特徴を利用して、量子ドットと金属の接合系が織りなす新しい物理の研究を行っています。特に、テラヘルツ電磁波を用いた電子状態の解明と伝導の制御、スピンが関与したコヒーレントな伝導(近藤効果)、強磁性体電極と組み... Read more
単一分子は機能を発現する最小単位です。我々は、エレクトロマイグレーションと言う現象に基づいた通電断線法を用いて、単一分子にアクセスするための1nm以下のギャップを有する金属電極の作製を行っています。特に数十原子以下の極微細金属接合におけるエレクトロマイグレーションの物理を明らかにすることにより、格段に精密に単一分子トランジスタを作製できるようになりました。さらに、単一分子トランジスタが示す特異な伝導の解明などを通して、新しいエレクトロニクスの可能性の探求を行っています。
トピックス
バリスティック伝導領域でのエレクトロマイグレーションの物理
強磁性電極C60単一分子トランジスタの伝導
H2TPP分子トラ... Read more
半導体超格子は、1970年に江崎らによって提案されたもので、異種の半導体材料をナノメートルオーダーで周期的に積層した1次元人工格子です。周期ポテンシャルの中では、直流電界を印加すると電子が振動的なトンネル効果(ブロッホ振動)を示すと言う著しい特徴があります。ブロッホ発振器は、電子が超格子中を固有の周波数(ブロッホ周波数)で振動するという特徴を利用したものです。しかし、発振器として利用するには、超格子が電磁波に対して利得(ブロッホ利得)を持つ必要があり、その存在を実験的に検証することは非常に困難でした。この問題に対し、我々は時間領域THz分光法により半導体超格子中の伝導ダイナミクスやブロッホ利得... Read more
近年、フェムト秒レーザーの発達により、THz電磁波技術が急速に確立されつつあります。我々は、光路長を変えて励起光と検出光のタイミングをずらしながらサンプリングする超高速サンプリング技術(一種のサンプリングオシロスコープ)を用いて、フェムト秒レーザー励起により発生させたテラヘルツ波を検出することにより、新しい分光技術を開発しています。
また、THz電磁波の検出技術の開発も大きなテーマです。我々はMEMS/NEMS技術を用いた新しいTHz検出技術の開発を行っています。
さらにTHz・赤外光を利用して水やゼラチンの分光測定を行ない、食品科学への応用を目指した研究も行なっています。
トピックス
MEMS技術を用いたテラヘルツ... Read more