半導体超格子は、1970年に江崎らによって提案されたもので、異種の半導体材料をナノメートルオーダーで周期的に積層した1次元人工格子です。周期ポテンシャルの中では、直流電界を印加すると電子が振動的なトンネル効果(ブロッホ振動)を示すと言う著しい特徴があります。ブロッホ発振器は、電子が超格子中を固有の周波数(ブロッホ周波数)で振動するという特徴を利用したものです。しかし、発振器として利用するには、超格子が電磁波に対して利得(ブロッホ利得)を持つ必要があり、その存在を実験的に検証することは非常に困難でした。この問題に対し、我々は時間領域THz分光法により半導体超格子中の伝導ダイナミクスやブロッホ利得の解明を行っています。
さらに、ブロッホ発振器の実現を妨げている高電界ドメインの問題を解決するため、交流強電場を用いた電気伝導制御の研究も行っています。また、非平衡グリーン関数法を用いた量子カスケードレーザの動作解析や新しい量子カスケードレーザ構造の研究も行っています。
トピックス
- 半導体超格子中のブロッホ振動とテラヘルツ利得
- 半導体超格子の交流大振幅動作と高電界ドメインの抑制
- 非平衡グリーン関数を用いたTHz帯量子カスケードレーザ中のキャリアダイナミクスの解析