研究設備

VG Semicon V-80HI


III族元素であるGa, Al, Inに加えて、V族元素のAs、およびドーパントとしてSi, Beを装着したIII-V族化合物半導体成長用の汎用分子線エピタキシー装置です。この装置を用いて、半導体超格子構造や量子ドット構造の作製を行っています。
結晶だけではなく、それに携わる人をも成長させる、それがVGなのです。


Riber 23


Ga, Al, As, およびSiのみを導入し、さらに大型クライオポンプ(CT-10)2基を装着した超高移動度半導体ヘテロ構造成長用の分子線エピタキシー装置です。10,000,000cm2/Vs程度の超高移動度を有する2次元電子系の作製を目標にしています。
Riberはあなたに夢という名のソースを供給し続けます。


熱型蒸着装置


本装置は真空中で電極となる金属に電流を流すことによって加熱し、蒸発させて電極薄膜を形成する装置です。本蒸着器は水晶振動子膜厚モニタを搭載しており、オームストロング精度で電極薄膜を形成することが可能です。ショットキー電極専用のものと、オーミック電極専用のものがあります。


EB蒸着装置


写真の蒸着装置(アネルバおよび鈴木商館製)はクリーンルーム内でも比較的新しい装置の一つです。真空チャンバー内で金やアルミニウムといった金属の塊に電子線を照射して金属のビームを作り、それを試料表面に入射させることで金属薄膜を作製します。 この装置には、利用頻度の高い蒸着作業の高効率化をねらってクライオポンプを搭載。大気解放後10分以内に蒸着作業を開始することが可能です。また、トンネル接合やナノ接合を作製するための基板角度可変機構を搭載し、多様な実験プロセスに対応しています。将来予想される新たな実験プロセスへの対応という観点も考慮され、多数のブランクフランジや構造のシンプルさなど、改造のしやすい構造になっています。
装置の設置、点検や整備は、教授の指導の下に学生主体で行われています。研究内容や実験プロセスを考慮した上での装置仕様に関する研究室内ミーティング、複数の製造業者との技術上、価格上の話し合い、共有利用スペースの装置の配置換えやガスおよび冷却水配管の変更に関する研究室間の打ち合わせ、等を繰り返した後に装置の搬入が行われました。現在も学生主体の装置維持管理が続けられ、装置の大容量性は実験効率の向上に寄与しています。


原子層堆積装置(ALD)


Cambridge Nanotech社製の原子層堆積装置です。デジタル制御により原子層を1層ずつ堆積することで精確な厚さを実現することが出来ます。100℃~250℃程度の成膜温度で、Al2O3とHfO2薄膜を堆積することが可能です。主として、良質なゲート絶縁膜を形成するために使用しています。


マスクアライナ


写真のマスクアライナ(独SussMicroTech製)によってマイクロリソグラフィ加工を行うことが出来ます。波長400 nmの紫外線を用いて、描画したいマイクロパターンが試料に転写されます。研究用途という性格上、試料の形状が多様なため、試料ホルダの形状、マスクホルダ形状等が特別に設計されています。装置の運用、点検、整備等は、製造元との連絡も含め学生によって行われ、研究上新たに必要となったプロセスに適応するため日々工夫改良がなされています。
また、この装置はクリーンルームの共用スペースに設置されており、他の研究室からの利用要請にも対応しています。そのため、装置運用には責任が伴いますが、その自覚をもって点検整備に取り組むことにより研究室間の信頼と協力関係を築くことにもつながっています。利用記録ノートや作業現場での日常会話を介し、装置の状態に関する最新の情報が研究室の壁を越えて共有され、常に最良の状態で使用できるようになっています。


AFM


写真はプローブ顕微鏡です。先球半径数十ナノメートルの鋭い探針を試料の表面に近づけ、試料‐探針間の相互作用を監視しながら走査し、試料表面の形状や電気的な性質を可視化することが出来ます。原子間力を監視して表面形状を画像化する原子間力顕微鏡(AFM)、試料と探針間に流れるトンネル電流を監視する走査トンネル顕微鏡(STM)、走査に伴う摩擦を監視する摩擦力顕微鏡(FFM)等がこの一台で可能です。分解能は格子像が見えるほど高く、ナノ接合や量子ドットの形状観察に主に用いられています。真空ポンプ等に起因する機械的振動や音響振動が多い部屋に設置されていますので、防振防音には細心の注意が払われています。


波長可変型フェムト秒レーザーシステム(Coherent社製)


LD励起固体レーザー(Verdi)を励起光源とし、パルス幅~100fs、繰り返し周波数76MHz、中心波長700~900nm、出力>650mWのレーザーパルスを得る波長可変型フェムト秒レーザーシステム(Mira)です。現在は、自己相関光学系や、EO検出によるTHz電磁波測定用光学系に使用しています。


超短パルス型フェムト秒レーザーシステム(Femtolasers社製)


LD励起固体レーザー(Verdi)を励起光源とし、パルス幅~10fs、繰り返し周波数75MHz、中心波長800nm、出力>300mWの超短パルスを得るフェムト秒レーザーシステム(Femtosource)です。分散補償をチャープミラーで行うことで、数十フェムト秒という非常に短い時間幅を持つレーザーパルスを得ることが出来ます。現在は、非常に短い時間スケールにおける超高速ダイナミクスの観測や、数十THzにまで及ぶ広帯域THz電磁波の発生に関する研究に利用しています。


中赤外用フェムト秒レーザーシステム(Coherent社製)


LD励起固体レーザーを(Verdi)内蔵した励起一体型Ti:sapphireフェムト秒レーザー(Vitesse-Duo)、再生増幅システム(RegA-9000)、BBO結晶を用いた光パラメトリック増幅器(OPA-9800)、AgGaS2結晶を用いた差周波発信器(DFG)より構成された一連のレーザーシステムを用いることによって、近赤外から中赤外までのフェムト秒レーザーパルスを得ることができます。


赤外フーリエ分光器



マイラーやKBrなど、様々なビームスプリッターを用いて、10 cm-1から15,000 cm-1の極めて広い周波数レンジをカバーする汎用のフーリエ分光装置です。rapid scan、step scanのどちらのミラー駆動もできることが特徴です。この分光器を用いて、量子ドット中のサブバンド間遷移の実験やサイクロトロン共鳴の実験を行っています。


遠赤外レーザ


CO2レーザ励起分子ガスレーザは、テラヘルツ領域の単色光を発生できるレーザで、利用する分子ガスを選ぶことにより、様々な波長の発振を得ることができます。最もよく用いられるのがメタノールガスを用いた2.5 THzの発振線で、最大約100 mWの出力を得ることができます。ナノ構造中の光子支援トンネル効果の実験などに用いられています。


顕微ラマン分光器


光と物質との相互作用による光の散乱現象の一つであるラマン効果を利用した分析装置で、化合物の定性・定量分析や結晶構造の解析を行うことができます。特に、光源としての光の強度が強く、単色性に優れたレーザーを用いることによって高感度測定が行えます。


希釈冷凍機付超伝導マグネット


希釈冷凍機付超伝導マグネットは最高で50mKという超低温、最大15Tという強磁場を発生させることができる装置です。この装置によって熱の影響を最大限に抑えて、通常の室温や低温測定では熱に埋もれて見ることのできないキャリアの輸送現象を測定することができます。量子効果の観測に有効な測定機器です。


超伝導マグネット


最高磁場15テスラを発生することができる超伝導マグネットです。このマグネットをフーリエ分光装置を組み合わせて用いることにより、サイクロトロン共鳴の実験や量子ホール効果を用いた超高感度遠赤外光検出の実験を行っています。